Dec 27, 2009
事業の資金を入手する方法をきちんと検討
事業者の金をきちんと考えなければ会社を経営していくのは無理があります。事業資金を確保して初めて事業を行うためです。だから、その事業の資金をどのように入手するかが課題となる可能性があります。もちろん、潤沢な自己資金があれば、全く問題がないのですが、誰でもそのような状況ではないでしょうか。その事業資金を入手する方法は、適切に検討する必要があります。2006年に新しい会社法が施行され、2006年に有限会社を設立することはできません。 2006年会社法以前からあった有限会社は株式会社の一種として扱われますが、既存の有限会社などの処置がとられます。しかし、以前からあった有限会社が商標有限公司での使用は認められています。現在、会社設立の種類は、株式会社、合名会社合同会社、合資会社です。
1990年代以降、数多くの談合事件が摘発され、公共工事をめぐる不公正かつ不透明な商慣習は社会的な批判を集めてきた。最近では建設業界をめぐる不祥事発覚のニュースも減り、業界環境の透明度が高まる方向へと向かいつつあると思われている。
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しかし、「本質的な問題は何一つ変わっていない」「現在の建設業界で行われていることは“官製談合”そのもの」と主張し、業界革新、さらには日本の社会改革を実現すべく、戦い続けている経営者がいる。岐阜県の建設会社、希望社の桑原耕司会長だ。
一体、建設業界をめぐる何がどう変わっていないのか? そもそも何が問題なのか? その中で、桑原会長率いる希望社は、どのように戦っているのか?
建設業界に普段縁のない人々にとっては、一見無関係に見えがちな、しかし、現実に我が国の官と民の関係の本質に関わるこの問題の深層について、桑原さんにお話をうかがってみた。
●実はよく知られていない公共工事の入札制度
公共工事の入札制度については、時折耳にするとはいえ、一般のビジネスパーソンにとっては、「何となくしかイメージできない」というのが実態ではないだろうか?
簡単に説明すると、公共工事の落札価格は多くの場合、国や自治体が案件ごとに作成を義務付けられている「予定価格」を上限、「最低制限価格」を下限とし、その間で決定される。
最低制限価格は、それよりも落札価格が下がると、品質の悪化や安全対策の不徹底、労働条件の悪化、下請け企業群の赤字といった事態が発生しかねないということで、そのリスクを回避するために設けられているもの。そのため、入札価格が最低制限価格を下回った企業は失格となる※。
※最低制限価格制度を採用していない自治体では、一定額未満の入札に対しては「低入札価格調査」が実施される。低入札価格調査では、発注者が業者に対し、価格の内訳書などを提出させて適正な施工が可能かどうかを調べる。
通常、最低制限価格は、予定価格に一定比率をかけて算出されるが、その比率は自治体ごとに異なっており、70〜90%の間、多くは85%前後になっているようだ。
自治体の指名した少数の企業の間で入札が行われる「指名競争入札」がほとんどを占めていた時代(2000年前後まで)は、多くの場合、予定価格ギリギリの価格で落札されており、企業間での事前の調整や発注する役所側の誘導があったことを匂わせていた。いわゆる“談合”である。
そもそも予定価格は上限としての設定であり、民間工事と比較すると、かなり割高だと言われている。その予定価格ギリギリで落札するのであるから、建設会社は国民の税金で不当な利益を得ているということになるわけだ。
こうした状況に対して、「公共工事のほとんどが官製談合。明治時代から連綿と続く官僚たちによる業界支配、国民支配を打破すべき」と主張し、タブーとされる談合破りを実践してきたのが桑原さん率いる希望社なのである。
1990年代以降、相次ぐ談合摘発を受けて、民間の談合組織も次第に解体し、あからさまな談合を実施しにくい空気が醸成されていった一方、指名競争入札に加えて一般競争入札※の比率が高まっていく。一見、健全化してきたように見える建設業界。しかし……!
※一般競争入札……一定の条件を満たす希望者すべてが入札に参加できるため、談合が起きにくい。
●入札がくじ引きやダーツゲームのようになっている
表立った談合が下火になって以降の公共工事受注をめぐっては、何が問題になっているのだろうか? 桑原さんの主張を整理すると、それは「企業努力の無意味化(=企業間競争の排除)」「役人による業界支配の維持強化」「税金の無駄遣いと、それによる地方財政の一層の悪化」ということになる。
では、これらの問題に対して、桑原さんが鋭く反応するのは何故なのか? それはおそらく、これらが自らの人生を賭けて追求してきた「建主の思いや考えを反映させた、良質で安価な建築の実現」という桑原さんのミッションの実現を遠ざけるものだからだろう。
まず、「企業努力の無意味化」について桑原さんは、「いまや、落札企業をくじ引きで決めたり、入札がダーツゲームのようになったりするなど、技術革新やコスト削減などの企業努力がまったく反映されない仕組みになっているんですよ」と嘆息する。
一般競争入札において、予定価格も最低制限価格も事前公表されるケースでは、当然ながら最低制限価格ギリギリの価格に入札する企業がずらりと並ぶ結果となる。そうなることはやる前から明白のように思えるのだが、そうなった場合にはくじ引きが実施されるのである。
「大阪のある入札では実に107社がまったく同額で並び、くじ引きで落札企業が決定したのです」
もう1つのダーツゲームとは、最低制限価格が事前公表されていない場合の入札が巻き起こす状況を指す。
最低制限価格が分からなくても、予定価格の何%の設定になっているかは、自治体ごとにほぼ一定となっており、その情報は各企業ともつかんでいる。それゆえ各企業は、いちかばちか最低制限価格ギリギリと想定されるあたりの金額で入札することになる。
不幸にして予想が外れ、最低制限価格を下回ってしまった企業は失格となり、上回った企業の中で一番低い価格をつけた企業が落札するのである。
「だから、ダーツゲームと同じだと私は言うんですよ」
くじ引きであれ、ダーツゲームであれ、いずれにしてもそこに企業努力が反映する余地はまったくない。
●悲鳴を上げる業界各社
考えてみれば、長年業界を支配してきた談合システム自体が、持ち回りの互助会制度であって、企業の経営努力や、それに基づく企業間競争を否定するものであった。そういう歴史的な経緯から考えても、建設業界をめぐる現在の事態は、起こるべくして起きたことなのかもしれない。しかし、もはやそれは見過ごせない状況にはあるようだ。
「そもそも予定価格×85%というような最低制限価格を算出する比率が、自治体ごとに一律に決まっていること、それ自体に必然性がないんです。
なぜなら、十分な品質を確保しつつ、下請けを含め、適正な利益をあげられる最低限の価格というのは、企業により、そして工事案件の性質により異なってくるからです。
ある案件に関して技術力が十分でない企業にとっては、最低制限価格を上回る価格であったとしても、品質の確保はもちろん、利益を出すことも困難です。逆に、技術革新を行うなどして技術力を高めている企業や、血のにじむ思いをしてコスト削減を実施している企業から見れば、最低制限価格をはるかに下回る価格でも、十分に利益を出し、品質を確保することが可能なのです。現状の入札のあり方に対しては、そうした技術力のある企業からも、技術力のない企業からも悲鳴が上がっています。
こうした状況は、岐阜市が拡充を図っている総合評価方式※にしても同様で、地域貢献(ボランティアなど)の要素が過大に評価される仕組みになっているため、技術力のある企業やコスト競争力のある企業が落札できなくなっているのです」
※総合評価方式……「価格」と「価格以外の要素」を総合的に評価して、落札企業を決める方式のこと。ダンピングなどで工事品質が低下することを予防する目的で導入されているが、「価格以外の要素」として、初期性能の維持、施工時の安全性や環境への影響に加え、過去の工事実績や、工事品質と関係のないボランティア実績などが設定されている。
明らかに早急な対応が求められる状況であるし、それにこれでは桑原さんが追求する「建主の思いや考えを反映した良質で安価な建築の実現」からかけ離れてしまう。こうした状況の問題性を世の中に知らしめ、業界革新の1つの契機にしようとの思惑もあったのだろうか、桑原さんは今年、岐阜県の案件でユニークな提案を行い、世間をあっと言わせる。
●「過剰利益の880万円をお返しします」
「今年1月、岐阜県発注の公共工事『衛生専門学校南棟西耐震補強建築工事』を、弊社が5100万円(予定価格の85.98%)で落札しました。
そして入札に当たっては、県に対して次のような提案を行ったのです。『本工事の入札金額は5100万円(税抜)ですが、これは最低制限価格を考慮し、失格とならないために提示する金額であり、当社では一定の利益を確保した上で4220万円(税抜)で品質に問題のないものを施工することができます。当社が落札となった場合には、岐阜県の財政再建のために入札金額と施工可能金額との差額を返還したいと考えております』」
この案件は、予定価格5931万5000円(事前公表)で、指名競争入札が行われたのだが、最低制限価格は事後公表であり、桑原さんの言う“ダーツゲーム”的な入札となった。
「県から指名を受けたのは20社ですが、その中で実際に入札したのは12社です。弊社を含めて、7社が予定価格の85%台での入札でした。しかし、その内の6社は最低制限価格をわずかに下回り失格になったのです。弊社の入札金額がたまたま紙一重のところで最低制限価格を上回ったので、落札できたんですよ」
桑原さんによる上記の提案そのものは、発注者の岐阜県からするならば、困惑材料でしかなかったろうが、それには触れず、指名競争入札のルールに則って希望社の落札とした。
過剰利益の880万円(5100万円−4220万円)を県に返還することを前提に取り組んだ案件であったが、希望社の技術力やコスト削減努力が功を奏して、竣工時にはさらに640万円の過剰利益が出ていた。
「880万+640万=1520万円を岐阜県に返還しようと一度は考えたのですが、それでは予定価格の60.3%で受注したことになり、『これはダンピングに当たる』と役人は言うわけです。それでやむなく、もともと『880万円を返還する』と申し入れていたこともあり、880万円だけを返還することに決めたのです」
●県は過剰利益の受け取りを拒否〜その真意は?
ところが、岐阜県側は880万円の受け取りを拒否してしまう。
しかし、この拒否はある意味、当然の反応であろう。希望社が過剰利益と称する880万円を「ハイ、そうですか!」と受け取ってしまうようでは、「発注者として岐阜県側が算出した予定価格や、そこからはじき出された最低制限価格は一体何だったのか」ということになり、その正当性を自ら否定するようなものだからだ。
「返還交渉が一向に進展しないので、今度は『岐阜県の財政を助けるために寄付したい』と申し出たんです。しかし、それでもやっぱりイエスとは言わないんですね。『岐阜県のこの案件には触れずに、途上国の災害援助などに同額を寄付するのなら構わないけれども、この案件と結びつけた寄付は困る』と言うんですよ」
役人の側からすると、「返還」が「寄付」へと名称を変えただけで、自分たちが構築し支配する入札制度の正当性を根底から否定されていることに何ら変わりはないのだから、おいそれとは受け取れないのだろう。
この取材を実施した時点で、すでに県との話し合いは3カ月を超えていたが、解決のメドは立っていない。果たしてソフトランディングはできるのか、今後の成り行きが注目される。
●談合システムは官僚による業界支配
入札制度の問題について検討する前提として、建設業界を筆頭に多くの業界の入札を長年支配してきた談合システムには、そもそもどんな目的や機能があったのかを明らかにしたい。
世間一般では、落札価格の高い公共工事を持ち回りで受注することを通じて、建設会社がみんなで生き残っていくための互助会制度として認識されることが多いが……。
「明治維新以降、官僚たちが構築してきた国民支配の体制を維持することが目的です。官僚たちは公共工事を通じて、税金を建設業に分配する役割を果たしてきました。そして、この分配権を官僚が保持することで、官僚と建設業者の間に主従関係が構築されたのです。
官僚たちは建設会社に、(民間工事よりはるかにもうかる公共工事を発注するという形で)利益を誘導してもうけさせ、その見返りに天下り先の確保や天下り先での厚遇、そして渡りという利権を確保してきたのです」
しかし、2009年度の建設投資は約42兆円で、過去最高だった1992年度の84兆円のちょうど半分であり、2010年度は40兆円とさらに縮小する見込みだ。また、相次ぐ(官製)談合摘発により、あからさまな談合はしにくくなってしまった。こうした環境変化によって、官僚による業界支配力も衰微せざるを得ないのではないだろうか?
「ところが、そういう時代になってもなお、官僚たちは建設業界に君臨し続けるために“優良業者の支援※”と称して、企業間競争を回避する発注システムを強化し、高い落札額を維持しようとしているんです。最低制限価格を引き上げ、しかも、最低制限価格制度の自治体への導入拡大を推進してきたことからも、それは明らかです」。
※優良業者の支援・・・・桑原さんの説明によると、これはあくまでも「官僚にとって優良」ということ。その内実は、間接費の高い、どちらかと言えば大手のゼネコンを支援し、その他大勢の中小・零細業者の排除を志向するものだという。その典型が既述の総合評価方式で、「品質確保のためのダンピング防止」を理由に、価格以外の要素の評価点の比重を大きくし、実質的な競争を阻害しているという。
●今の建設業界は官製談合そのもの
最低制限価格の引き上げに関しては、厳しい経済情勢の中で、建設業界の雇用確保を目的にしているとされる。一見正論のようにも聞こえるが、上記のように建設投資額がピーク時の半分以下に落ち込み、今後も減少することが見込まれているのに、建設会社は最盛期と大差ない約51万社が全国に存在している。「果たして、これは経済合理性にかなっているのか?」という疑問が当然出てくるだろう。
「それは言うまでもなく、建設業者が落札額や受注者を調整する仕組みによって“生かされている”からなんです。2009年に前原誠司国土交通大臣(当時)が『51万社が20万社に減ったとしても多過ぎる』と建設専門紙のインタビューで明言していましたが、その通りだと思います。官僚が納税者のために、企業間競争が促進されるような入札を行っていけば、建設業界は大幅縮減されます」
官僚たちによる業界支配の維持強化という問題は、視点を変えると、官僚が自分たちの既得権益を守るために国民の税金を無駄に使い続け、その結果として、ただでさえ逼迫(ひっぱく)している地方自治体の財政状態をいっそう悪化させていることにほかならない。
「税収が縮減し、財政支出を合理的に小さくしていくことが求められている時代なのに、現在行われている官僚たちによる『企業間競争排除+高額落札』は、まさに官製談合そのものだと思います」
●減産社会への展望
こうした官製談合システムの打破を目指すにしても、桑原さんはそこから先、どのような社会の実現を志向しているのだろうか?
「これまで私たちの経済社会は、大量生産・大量消費によって成長拡大してきたわけですが、地球環境問題の深刻化、生産活動の停滞、雇用縮小などによって、今や、減消費の社会へ転換する方向に向かっています。経済の自然回帰と言ってよいでしょう。
しかし、政治家たちは国民に対して“経済のさらなる成長”というはかない夢をばらまいています。減産社会がすでに始まっていることが分かっていないとするならば、そのような人々に国政を託すことなどできませんし、逆にそれが分かっていて、そんな夢をばらまくのであれば、国民への愚弄以外の何物でもありません。
私はカネやモノに異常なまでに執着したこれまでの生き方を捨てて、質素で控えめなライフスタイルを実現していくべきだと考えています」
官僚による国民支配の構造が解体したならば、官僚たちはその減産社会において、どのような立場に立つことになるのだろうか?
「公務員の身分保障をやめて労働3権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を与え、全体の30%に当たる105万人を解雇するのです。そして、彼らには減産社会でキーになる農林水産業に従事してもらいます。残った70%の人々に関しては、人件費を30%カットすることで公務員の人件費は半分になります。このような施策によって、官と民の関係も変わってくるのではないでしょうか?」
桑原さんのこの構想が実現するかどうかは、日本の生活者1人1人の意識変革次第とも思えるが……。
「その通りです。ですから、私はこの考え方に賛同する人々を集めて、人々への啓蒙を図りつつ、民衆による政治改革運動をやっていきたいと考えています」
初めてこの構想に接した人には奇想天外にすら思えるかもしれないが、桑原さんはあくまでも本気である。すでに希望社の社内では社員との面談を行い、「経営理念に共感して働けるか」というポイントとともに、「減産社会を身近にとらえることができるか」という点から、今後一緒に働く社員を選んでいるという。
政治や外交の迷走、経済の低迷や衰微、社会の停滞や混乱……分かってはいても誰にも何もできないという閉塞状況こそが、現代日本の実像だろう。
そういう中にあって、果たして桑原さんの目指す業界革新、そして社会改革は人々の心をつかみ、首尾よく実現していくのだろうか? 今後の推移を見守りたいものである。【嶋田淑之,Business Media 誠】
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